止まない雨はない
雨の音から始まる”止まない雨はない”は、アルバム「HOME」の中では最もシンプルで静かなバラード曲だ。
そしてこの曲もまたタイトル”止まない雨はない”という言葉は曲中に一度も登場しない。
MICOというシンガーはタイトルをそのまま歌うことが少なく、歌詞の主旨を何か別の言葉に擬態したタイトルを付ける傾向にあるようだ。
そしてMICOの作る楽曲は、情景の見えやすい表現を使う歌詞が多いが、この曲もまた同様に聴く者にその情景がよく見える楽曲と言える。
雨が降る 傘なんてなかった
一人で歩く 駅から家までの道
天気予報では晴れだったはずなのに
携帯の電池も残り、あと一つだしなぁ・・・
この歌の主人公は、一生懸命に何かを頑張って生きてきたけれど、思い通りにいかなかったり、愛想笑いばかりを覚えた自分に悩んでいる。
そんな時には周りの優しい言葉ですら、辛く感じてしまうときがあるだろう。
優しすぎる言葉こそ時には 鋭い鍼に変わり
僕の胸の奥をチクッと刺してくるんだよ
知ってたかい?
シンプルで若干Jazzテイストを入れたアレンジ、そして後追いで添えられるピアノの音が、この曲を余計に切ない音色に仕上げている。
この楽曲の主人公もまた、自分自身に悩んだままではなく、少しでも前に歩き出そうとするのだ。
雨はまだ降っているし、傘なんて持っていなかったけれど、空には太陽が顔を出してくる。
そう”止まない雨はない”のだと言っているかのように。
”止まない雨はない” 視聴
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収録アルバム名
HOME
リリース
2018年11月11日
作詞・作曲
MICO